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山本美禰子『Lazward -Mineko Yamamoto Works Best- 』(2012)

2013年1月28日 (月曜日)
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山本美禰子『Lazward -Mineko Yamamoto Works Best- 』(2012)
ロック・バンド、ジギタリスのボーカリスト、山本美禰子。近年は歌手として、ゲームの楽曲の世界での活躍が目覚ましい。このアルバムはそれらの作品をまとめたワークス・ベストで、ゲームの楽曲を中心に書き下ろしの自作曲を加えたかたちになっている。

わたしは今までゲームの音楽を聴いたことはほとんどなかったけれど、このアルバムを聴いた全体的な印象としては、目的を持って作られているだけあって、非常に説得力のある楽曲が並んでいるなと思った。巧みなデザイン力で表現したい世界を音楽として絞り込んでいく。そんな印象を強く持った。

「Cadena」は馬に乗ってアンデス山脈を軽く飛び越えてしまいそうな、壮大な曲。未来に向かって踏み出す感じのする歌詞と曲ががっつり組んで、雄大なイメージを生みだしている。聴いていると、わたしもまだまだ何でも出来そうという気にさせてくれる。

書き下ろし曲の「虹の船」は、ギターの弾き語りのたいへん美しい曲。メタファーを駆使した歌詞を聴いていると、人生という普遍的なキーワードが心に浮かんでくる。世の中は風のように流れ、移り変わっていく。自分も立ち止まってはいられない。前に進まなくては。そんな気持ちにさせてくれる。それと「明日の彼方へと続く〜」というフレーズが印象的で、「明日の彼方」というのは、いま目には見えない。明日の向こう側というのはどうなっていくのか分からない。でも誰だってできれば明るい未来を創造したいだろうし、大切と思える人と出会いたいものだろう。そういうロマンティックな感情に浸れる美しい歌だと思う。

アルバム・タイトルになっている「Lazward 〜風の行方〜」。こちらも書き下ろし曲。タイトルにあるように風を感じさせる曲なのだが、曲の流れに身を任せていると、空気のバネに押し上げられるようで、どんどん心の標高があがっていく感じがして気持ち良い。ちなみにこの曲は、このアルバムのレコ発ライブの際の一曲目で、始まった瞬間に山本美禰子ワールド炸裂って感じで、いっきに引き込まれましたね。

「虹の船」「Lazward 〜風の行方〜」どちらの曲も、囚われのない自由な感触がするのが好ましい。

続く終盤「Pilgrimage」「Power of the Light」「Cadena(Live Ver.)」の流れは圧巻の一言。

「Pilgrimage」はフォルクローレのような笛の音が印象的なポップチューン。一度聴くと何度もリピートしたくなる中毒性の高い曲。サビの「さあ旅に出よう 忘れないうちに」というところが好きで、「旅に出よう」というところを「新しいことをやろう」と解釈することもできるし、そう思うとぐっと自分との距離が縮まってくる。時間というのは、ぼけっとしていると容赦なく過ぎ去ってしまうし、瞬く間におじいさんになってしまう。このフレーズはそんなことを思わせてくれる。

「Power of the Light」は「圧倒的遊戯ムゲンソウルズ」というゲームのオープニング曲なのだが、この力強いネーミングに負けない物凄い迫力の曲で、これでもか、これでもかという感じで迫ってくる。カラフルなサウンドに山本美禰子のコーラスも相まって壮大な空間が目の前に現われてくる。極私的な感覚かもしれないけれど、サウンドにプリンスにも通ずる妖艶さを感じる。赤、黄、紫といった色が目に浮かんできて交錯していく様は眩いばかりだ。それにギターがギンギン入っていて聴いていてスカッとする。

そしてラストは「Cadena」のライブバージョン。主人公がゲームの世界から飛び出してきて、大地に降り立ったような臨場感があって感慨深い。なにより勇敢さを感じるし、本当にかっこいい。

アルバムとしては、シングルっぽい曲以外にもドラマCDの挿入歌などが収められているのだけれど、曲順が練ってあるように感じられ、上手くまとめている印象を持った。それと、曲によって異なる声色を楽しめるものもあるのはファンとしては嬉しいところだろう。

でも、なんといっても、ジギタリスのファンとしては書き下ろしの新曲を聴けたのが、一番お得感あったかなというのが率直な気持ちかな。そういえば、昨年末のWebラジオでは、地下活動と称して新しく作品制作しているとのことだったので、今はそれが凄く楽しみですね。

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この投稿は 2013年1月28日 月曜日 11:26 PM に 日本のバンド カテゴリーに公開されました。 この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 コメントを残すか、ご自分のサイトからトラックバックすることができます。

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