ザッパ作品紹介/アポストロフィ(')

新生マザーズの幕開けとなった『オーヴァーナイト・センセイション』に続いて発表された作品。前作同様、コンパクトな楽曲が並び、聴きやすい仕上がりになっている。タイトル曲はジャック・ブルースとジム・ゴードンとの共同名義になっている。

メンバーはザッパ人脈の様々なミュージシャンが集っていて、クレジットはされてないが、ティナ・ターナーとアイケッツがバック・アップ・ヴォーカルで参加している。また、マザーズ初代ヴォーカリスト、レイ・コリンズが参加しているのが個人的には嬉しい。

1曲目「ドント・イート・ジ・イエロー・スノー」が、ラジオのオン・エアーをきっかけにヒット。その余波でか、アルバムもなんと、ビルボード10位の大ヒットとなってしまった。

その1曲目から4曲目までは、シームレスに繋がる組曲になっている。特に3,4曲目は滑らかで軽快。ボディー・ブローの連打を喰らってるような小気味よいノリで、ファンキーかつグルーヴィーに展開される。ラルフ・ハンフリーのドラムやルースのマルンバも弾んでいて、ザッパ流ポップセンスが発揮された曲だ。

ちなみにジョーのガレージ・バンドによる、この組曲の20分バージョンが、『オン・ステージ VOL.1』で聴くことができる。

「コスミック・デブリス」は繰り返し聴いてると、クセになるファンキーな曲。出だしのギターの音も面白いし、弾力ビートに女性コーラスが絡むと、素晴らしく黒い。ティナ・ターナーの声も聴ける、個人的にかなり好きな曲だ。

「エキセントリフューガル・フォルツ」はザッパらしいエキセントリックな曲。特にイントロの風変わりな様は面白い。

タイトル曲の「アポストロフィ」はジャック・ブルースとジム・ゴードンが客演。ブィブィブィーンと、地殻変動を起こすかのような轟音が鳴り響く。これを聴いてると、なんだか今にも、地震や津波が襲ってきそうだ。

「アンクル・リーマス」はザッパにしては珍しい、心に滲みるバラード。ザッパの渋い歌声に贅沢感のある女性コーラス。ピアノの清潔感とギターの哀愁が印象的だ。

ラストは、『オン・ステージ Vol.2』ではオープニングを飾った「スティンク・フット」。「臭い足」というタイトルのように何やら臭気を放つ、ザッパらしいネチっこい曲だ。

本作は前作と並んで、ザッパ入門に適すると言われているが、後半は寄せ集め的な感が否めないので、個人的には、全曲ワン・サイズ・マザーズで演奏された『オーヴァーナイト・センセイション』の方を先に聴くことをオススメしたい。

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アポストロフィ(')の曲名 アマゾン