ザッパ作品紹介/ジョーのガレージ

1979年発表のロック・オペラ超大作。LPでは最初にACT 1が発売され、その後、ACT 2&3が発売された。ちなみにこの年は、なんと5作品(LPでは7枚分)が発表されたザッパ・イヤーともいえる年。その最後を飾るのが本作といったところ。

ストーリーは、ACT 1が諸悪の根源が音楽にあるとする政府との闘いを描いたもので、ACT 2&3が音楽とセックスが非合法となった時代を描いたもの。

音楽的には“バイオニック・ファンク”というコンセプトで制作されたファンキー・ロック。とにかく“カッコいい”の一言に尽きるサウンドで、クソ暑いサウナから飛び出た瞬間のような、むさ苦しさと爽快感を同時に堪能できる。とにかく、汗が蒸発する瞬間を捉えたような、適度な湿気と切れの良いサウンドが気持ち良い。

ザッパ作品の中でも、ポップでとっつきやすい作品だと思うが、特に、ACT 1は歌もの中心で大変聴きやすい。1曲1曲も凄くポップで素晴らしいのだが、それに輪をかけて、曲のつながりが見事でまったく退屈させない。ACT 2&3は長尺な曲が増え、ギターソロの比重が高まるのだが、これもまた大変美しい。ギターファンには美味しいところだろう。

メンバー面では、リード・ヴォーカルとしてアイク・ウィリスが初参加。またドラムのヴィニー・カリウータの数少ない参加作品でもある。

歌詞についても、特筆するべき文句が含まれている。それは「パッカード・グース」のなかで、デイル・ボジオ(テリー・ボジオの妻)扮するメアリーによって語られており、ザッパの信念とも窺えるものだ。

情報は知識ではなくて
知識は知恵ではないわ
知恵は真実ではなくて
真実は美じゃないわね
美は愛ではないし
愛は音楽じゃないわ
やっぱ、音楽が、“最高”よ…

最初からずっと聴き通し、最終曲の「ア・リトル・グリーン・ロゼッタ」の感動的なエンディングまで辿り着くと、なんだか、ある種の幸福感をも感じることだろう。

スライやP-FUNK好きに特にオススメしたい、個人的に大好きな作品。黒人音楽愛好ロックファン必聴の大傑作だ。

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ジョーのガレージの曲名 アマゾン