ザッパ作品紹介/チャンガの復讐

オリジナル・マザーズを解散し、ソロ名義で発表された、極めてロックな作品。オリジナル・マザーズにあった前衛臭が消え、力強いロック作品になってる。

本作からフロー&エディ、エインズレー・ダンバー、ジョージ・デューク、ジェフ・シモンズらが加わる。

内容的には、上記タートル・マザーズの歌ものと、ホット・ラッツ期のメンバーを交えたインストものとに大別される。エインズレー・ダンバーのドラムに、ベースがマックス・ベネットだったりする珍しい組み合わせもある。これは他の作品では無い組み合わせではないだろうか。

まず、何はともあれ、中近東風インストの1曲目「トランシルヴァニア・ブギ」である。いきなりザッパのギターが炸裂し、また新加入のエインズレー・ダンバーのドラムも存在感があって、強力ロック・サウンドをおおいに印象づける。ちなみに、この曲は、オリジナル・マザーズ時代にも演奏されていて、そちらは『アヘッド・オブ・ゼア・タイム』で聴くことができる。

ホット・ラッツ期のインストである3曲目「20本の短い葉巻き」から、ライブ・テイクの4曲「ザ・ナンシー&メアリー・ミュージック」に切り替わるところは、非常にスリリング。

そして、そのライブ音源なのだが、臨場感溢れる凄い熱気で、この時代に生まれ、そこに居たかったと思わせる魅力がある。ザッパのギターも火を噴いてるが、エレクトリック・ピアノの畳み掛けもカッコイイ。また、ジョージがスキャットを披露している。

タイトル曲の「チャンガの復讐」は、なにやら、さすらいのガンマンを想起させる、大変ムードのあるインスト曲で、なんだか西部劇の主人公にでもなったような気にさせる。ここでは、珍しくシュガー・ケイン・ハリスがオルガンを弾いている。

フロー&エディが前面に出た歌ものは、どれも張りがあって気持ち良い。ハード・ロックな「テル・ミー・ユー・ラブ・ミー」、ジョージのトロンボーンが聴ける「ルディが一杯奢ってやるんだってよ」、切ないラブ・ソング「シャリーナ」など、聴き応え満点。

また、ザッパの打楽器一人多重録音「クラップ」も、味があってなかなか面白い。

ホット・ラッツ期のテイクが入っていることから、一聴すると、散漫な気がしないでもないが、聴き込むと、そのファジーなバランスが魅力とも思える作品。刺激的なロックを体感したい人にオススメだ。

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チャンガの復讐の曲名 アマゾン