ザッパ作品紹介/アヘッド・オブ・ゼア・タイム

これは、嬉しい、1968年10月28日、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブ。BBCシンフォニーのメンバー14人を参加させての、エンターテインメント・ショー。この音源の一部は、後に、『いたち野郎』で使われることになった。

オリジナル・マザーズのライブ音源は、他に『オン・ステージVol.5』のDISC1にも収められているが、そちらは、いろいろなテイクの寄せ集めであった。そこへいくと、本作は、1つのショーを、まとまったヴォリュームで堪能できるのが、なんとも素晴らしい。

ショーは、前半は心理劇、後半は通常の演奏という、2部構成。

前半の芝居の名前は「進歩?」というものだが、ザッパによれば、もともとタイトルなどなくて、とりあえず「進歩?」と呼ぶことにした、ということだ。

プロローグで、気品ある室内楽が流れた瞬間、「あぁ、マザーズ」と、思わず胸がはずんでしまう。 その後、各メンバーの芝居が始まるのだが、気品とバカバカしさが、同居した、マザーズ流エンターテインメントが堪能できる内容となっている。ちなみに、室内楽的作品のもともとのタイトルは「女王のサーカスのための音楽」。

後半は「キング・コング」「ヘルプ・アイム・ア・ロック」などのお馴染みの曲がノンストップで演奏される。

特に、目玉は『いたち野郎』に収められていた、「オレンジ・カウンティ・ランバー・トラック」のフル・ロング・バージョンが収められていることだ。こいつは嬉しい。このテイクの為に買っても良いくらいだ。「いたちバージョン」よりも、ギター・ソロは長く、そして、その後、サックス・ソロが続くのだから堪らない。後半は、キング・コングのソロもみられる。何度も聴ける、熱いジャズ・ロックだ。

むさ苦しいまでの美しさに溢れた、オリジナル・マザーズのショーが体感できる一枚。

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アヘッド・オブ・ゼア・タイムの曲名 アマゾン