ザッパは、自分の音楽が高度化するにつれて、それを具現化するためにテクニシャンを揃えるようになった。音楽性にファンキーさが加わり、複雑な展開が増え、万華鏡的ザッパ流ポップセンスが開花したといえるだろう。俗にプログレ・ザッパといわれることもあるが、本サイトでは、この時期の代表作『ワン・サイズ・フィッツ・オール』からとって「ワン・サイズ・マザーズ」としておこう。
メンバーは時期により増減があるが、列記しておくと、ザッパ、ジョージ・デューク、ルース・アンダーウッド、トム・ファウラー、ナポレオン・マーフィー・ブロック、チェスター・トンプソン、ラルフ・ハンフリー、ブルース・ファウラー、ウォルト・ファウラー、サル・マルケス、ジャン・リュック・ポンティ、イアン・アンダーウッド、ジェフ・シモンズ、ドン・プレストン。
1973年は、この新生マザーズの幕開けとなった年だった。アルバム『オーヴァー・ナイト・センセイション』を発表。全曲、歌もので、コンパクトにまとめられた曲が並び、ザッパ流ポップ・センスが明確となった。つづく、1974年には『アポストロフィ』を発表。このアルバムも前作同様、コンパクトな仕上がり。そしてなんと、キャッシュ・ボックスのアルバムチャートの第18位にランクされ、ザッパ初の“ヒット作”となった。
このヒットを追って同年発表されたライブ盤が『ロキシー・アンド・エルスホエア』だ。この1974年は、マザーズ結成10周年として、ツアーに明け暮れた年であった。
特に、先に挙げたメンバーのうち、コアとなる最初の6人、ザッパ、ジョージ、ルース、トム、ナポレオン、チェスターでのヘルシンキ・ライブは伝説化しており、のちに、『オン・ステージ VOL.2 ヘルシンキ・コンサート』として発表された。
そして、このコア・メンバーによって傑作『ワン・サイズ・フィッツ・オール』(1975年発表)がつくられることになる。
オーヴァーナイト時のメンバー
左列上からトム、ブルース、ラルフ、サル、右列上からルース、イアン、ジョージ、ポンティ
(左)オーヴァーナイト・センセイション
(右)アポストロフィ
ロキシー&エルスホエア
オン・ステージVol.2
ヘルシンキ・コンサート
ワン・サイズ・フィッツ・オール