ザッパ作品紹介/グランド・ワズー

前作『ワカ/ジャワカ』と対をなす兄弟作。前作同様、ザッパのジャズロック路線の作品。ザッパのビッグ・バンド物の最高峰との呼び声も高い。

ちなみに、現盤の1993年ザッパ承認マスターでは、旧盤と異なり、1曲目と2曲目が入れ替わっている。個人的にはタイトル曲が2曲目の旧盤の順序が好きだが、音質は圧倒的に現盤のほうが良くなっている。

内容は、支配者クリータスと、5千人のシンガー、5千人のパフォーマー、10万人の女性シンガーの軍勢を持つ悪党集団、MOPとの闘いというストーリーに基づく音楽作品で、ダイナミックかつ緻密な音を満喫できる。

メランコリックなイントロが印象的なタイトル曲をはじめ、音楽戦争というストーリーに相応しい、重厚でゴージャスな作品だ。

4曲目「イート・ザット・クエスチョン」などは非常にスリリング。ジョージ・デュークのソロのあと、ザッパのギターソロが入ると、いかにも音楽戦争のクライマックスといった様相を感じさせる。

ラストの「ブレスト・リリーフ」も素晴らしい。なんだか闘いの後といった雰囲気の穏やかな曲で、膨よかな安堵感に浸れる。

本作は、ロック・ファンにもジャズ・ファンにもクラシック・ファンにも聴いて頂きたい、エレクトリック・チェンバー・ミュージックの傑作。ストーリーを模した、カル・シェンケルのイラストレーションも秀逸だし、これは即、買うっきゃないですぞ。

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グランド・ワズーの曲名 アマゾン