ザッパ作品紹介/ボンゴ・フューリー

本作は盟友キャプテン・ビーフハートを迎えたツアーからのライブ。ザッパ/ビーフハート/マザーズの連名となっている。メンバーはワン・サイズ・マザーズと、ドラムにテリー・sが新加入。(5、6曲目はチェスター・トンプソン。)それと、スライド・ギターでデニー・ウォリーという布陣。

内容的にはR&Bやロック色の濃いものとなっていて、ザッパの音楽性の枠内で、ビーフハートが暴れまくるというもの。そのさまは、まさにアルバム冒頭からあらわれる。

荒野の導火線に火をつけたかのような、ザッパのギターに始まり、ビーフハートのヴォーカルが空を割って、炸裂する。そこをマザーズの緻密な演奏が色づけしていくわけだが、不気味さと祝祭的ムードがないまぜとなり、のっけから、見たことのない地平にスリップしてしまう。

ビーフハートはまさに、俺が主役だといわんばかりの吠えっぷりである。

ブルース・ナンバー「200イヤーズ・オールド」は、この手のものとしては、比類なき、かっこよさである。ザッパの短めの語りのあとに、待ってましたとばかりに、御大ビーフハートのヴォーカルがのしかかる。ワン・サイズ・マザーズの洗練さと野生児ビーフハートの組み合わせが、銀黒世界を現出させる。そこにザッパのギターとビーフハートのハープが火を噴くのだが、まさに、三つ巴の競り合いが無限のエナジー空間を生んだ共演といえるだろう。

ただ、唯一、残念なのは、まだ、聴きたいというところで、フェイド・アウトして終わってしまうことだ。(ホントォに残念だ。)

ラストの「マフィンマン」はザッパのギター・ソロに人気のある曲。新たなツボを新発見するかのように弾きまくる。延々と、続くアドリブの源泉は、いったいどこから来るのだろう。

広漠たる原野のとどろきを連想させる本作は、例えば、オールマン・ブラザーズ・バンドやレーナード・スキナードなどのサザン・ロックの名ライブ盤のように、ある程度、ヴォリュームのまとまったカタチで聴いてみたかった、そんな、ライブ音源だ。

 戻るザッパ入門TOP
ボンゴ・フューリーの曲名 アマゾン