ザッパ作品紹介/アブソリュートリー・フリー

1967年発表のセカンド・アルバム。アナログでは、A面「アブソリュートリー・フリー」、B面「マザーズ・オブ・インヴェンション」と題され、各面、ノンストップ構成になっている。CDでは、A面とB面の曲のあいだに、2曲のボーナス・トラック(当時のシングル曲)が収められている。

このアルバムの特徴をいうと、美しいメロディ、レイ・コリンズの男気ヴォーカル、ヘタウマ・コーラス、即興パートの導入、コンクリート部屋のこもったような空気感、モンタージュ的なイメージの切り替えなどが、ある種、美しさと醜さが同居した音空間を生成している、ということだ。

このテイストは決して、他の作品では、味わえない。アルバムのトータル性は、前作を上回っているといえるだろう。

個人的には、2曲目の「デューク・オブ・プルーンズ」は、特に好き。これは、ファンのあいだでは、人気曲のようだ。美しいメロディとチープなサウンドが印象的な、聴きやすい曲だと思う。

それから、アルバムの流れをいえば、ピョンピョンした、ポップ・センス溢れる曲が、ノンストップで繰り広げられていく。

なかでも、この作品中、一番時間が長い(7:30)、ラストから2曲目の「ブラウン・シューズ・ドント・メイク・イット」は、このアルバムの、クライマックスともいえるボリューム。曲調が目まぐるしく変わり、世にも奇妙な物語をみているかのようだ。

そして、そこから、ジャジーなラスト「アメリカ・ドリンクス・アンド・ゴーズ・ホーム」に切り替わる部分は、わたしの最も好きなところ。ゆったりと、お洒落な曲に、レジの音や、ざわつき声などが加わり、酒場を連想させる。そこに、レイ・コリンズの歌声が、甘く響くのだが、それが本当に素晴らしい。クラシック映画を想起させる、描写力のすぐれた作品だと思う。

それにしても、ザッパは、時間を持て余さない。表現したいイメージに適したボキャブラリを、最短時間で組み上げる。その配列が、ギャップがありながら、説得力をもつ、というザッパならではの、力強い表現を生んでいるんだと思う。

オリジナル・マザーズの作品中、一番、臭ってる作品。クセになります。

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アブソリュートリー・フリーの曲名 アマゾン