ブーツィー・コリンズ『ファンクだよ、全員集合!!』(2002)
誰でも好きなアーティストや好きなタイプの音楽があることだろう。さしずめ僕の場合だったら、フランク・ザッパやキャプテン・ビーフハートということになるのだけど、普段しょっちゅう聴くかというと状況はむしろ逆だったりする。それというのも本当に好きなものを聴くと、それだけで完全に満ち足りてしまって、他の良質な音楽に興味が湧かなくなってしまうので、あえて聴かないようにしている、というところが少なからずあると感じている。
そして、そのような特別な存在はなにもこの二人だけではなくブラック・ミュージック、とりわけファンク・ミュージック、そしてP-FUNKもそれに当てはまる。ファンカデリックのアルバムなどを聴くと、心の故郷に帰ったような安息感と、ここから抜け出せなくなるような恐怖すら感じる。これは麻薬だ! と心の声が聞こえてくる。
そして、P-FUNKの中核メンバーであったブーツィーのこのアルバムもまさしく麻薬なのだ。
『ファンクだよ、全員集合!!』。この邦題がすべてを物語っている。とにかくゲストが豪華。ヒップホップ世代のスヌープ・ドッグやチャック・D、それにテクノ・ハウス畑からファット・ボーイ・スリムやディー・ライトのレディ・ミス・キアー。レゲー界からはスライ&ロビーなどバラエティ豊か。
そんな甲斐あってか、とっても新鮮味ある愉快な楽曲群が並んでいる。ケリ・アリやワンといったキュートな女声をフューチャーしたファンク・チューンとスヌープやファット・ジョーのラップ曲などが並んで、良いコントラストとなり退屈しないで聴ける。それと甘く濁りのないブーツィの声、これがまたとろけるのだ〜。
長い間、棚にしまってあったのを何の気なしに取り出して聴いたのだけど、やっぱりドップリ浸かってしまったな。もう中毒だ! この麻薬盤、もうしばらくは抜け出せそうにないな。それにしてもこの邦題を考えたご担当者様は素敵すぎ♡ ファンク愛を感じますなあ。