アンドロメダ・メガ・エクスプレス・オーケストラ『Take Off』(2009)
このアルバムは、1年くらい前に新宿タワレコ7Fでたまたま試聴したら良かったので、その場ですぐに買ってきた。試聴機に何枚もの作品が入ってるなかで、この黄色いイラストのジャケがまず目に留まった。それで何となしに聴いてみたのだけど、この大袈裟なバンド名に実に似合った音楽が飛び出してきたので驚いたのだった。
ベルリン在住の作曲家ダニエル・グラッツェルが率いる20人編成のビッグ・バンドで、ジャズや現代音楽、映画音楽などがブレンドされた優美な音楽だ。
試聴機で1曲目を聴いた時、真面目な雰囲気のストリングスで始まったので、最初はクラシックかと思ったのだが、続いてドラムが入ってきて、いかにも急行列車の窓から見える流れる風景のようなスリリングな展開になり、あれっ、ザッパっぽい!?と思う箇所もあって、これはイイかもと思った。
そして続けて、2曲目「Asteroids!」を聴く。おー、何なんだこのザッパ的場面転換は!ここで買いマークが点灯。途中で聴くのを止めレジにてゲット。そしてその後は、真っすぐウチには帰らず、おなじみの大井町のaudio music bar ONPAに寄って、開封。全部聴いてきた。
ウチに帰ってからアマゾンの商品解説を見たら、ザッパの影響も受けてると本人も言ってるということが書いてあって、やっぱりそうかと思った。ザッパをお坊ちゃんにした感じといったら良いだろうか。
僕が好きなのは4曲目「Radioactive People」。ザッパの『グランド・ワズー』的な曲で、ザッパを育ちを良くした感じがしてお気に入り。ただ、全8曲なのだけど、その後はシリアスな曲が続くので、僕としては賑やかな曲が後半にも1曲挟んであったら、もっと楽しめるのになあと思った。
実は面白いと思ったものの、買ってからほとんど聴いてなかったので、いま改めて聴いてるわけだけど、ちょっと気になることも出てきた。2曲目「Asteroids!」の前半、ジャズを基調としながらも、ザッパ的な場面転換で目まぐるしくイメージをコラージュしていくのだけど、後半の彷徨テイストへの場面転換が、聴いていてどうにもしっくりこない。これははたして、表現上の必然性はあるのだろうか? 音楽的素養が豊かだということは分かるけど、最初の方がどういう曲だったか聴いてるうちに忘れてしまう。このイメージの連鎖はあまり成功してるように思えないのだけど、どうだろう。まあ、そんなにたくさん聴いてるわけじゃないから偉そうなことは言えないのだけど…。
それにしても、何の予備知識もなく試聴して驚いて買うっていうのは、新鮮で実に楽しいひと時ですよね。ショップ・スタッフさん、さすがプロ。これからも良い音楽を我々リスナーに届けて欲しいですね。
ところでこのバンド、来日公演しないかな。こういう音楽を生で聴いてみたいぜよ。うおー。