ファンカデリック『Maggot Brain』(1971)
言わずとしれたファンカデリックの初期の代表作。僕の記憶が正しければ確か3枚目であったと思う。
まず、ジャケットのインパクトが凄いよね。ここはいったい何処なのだろう。僕は初めて見た時、特に根拠もなく宇宙のどこかの星を思い浮かべたけど。そして地面に埋め込まれたアフロ女の絶叫顔。荒廃しきって、他の生物は何一つ存在していない世界のように思える。このジャケを見るといつも、このアフロ女がズームアウトしていく画を思い浮かべ、深淵な気持ちになるのは僕だけだろうか。
ジャケが奇想天外なら中の音楽も奇想天外。いぶした銀のような黒々しさに、神々しさと猥雑さが入り乱れたような空気感、そして大胆さを併せ持ったロックなのだ。
特に僕が好きな曲はラストの「WARS OF ARMAGEDDON」。曲名から言って、ハルマゲドンの戦争を描いてるんだろうけど、これは凄い。まるで、食人族に体中を噛み付かれたようなドマゾなロックなのだ。
これはイイ。快楽だ。こんなロックは他にない!
ところで、数年前にファンカデリックのWESTBOUND時代の作品がまとめてリマスターされ買ったのだけど、この『Maggot Brain』に関しては旧CDのサウンドの方が断然イイですね。リマスター盤を聴いた時、この作品を初めて聴いたときのインパクトを全然感じられなかった。今回改めて旧CDを聴いてみたけど、こちらの音像の方が奥行きがあって、手前に出るところはしっかり出てる感じ。リマスター盤は平板でおとなしくなってしまった。
まあ、そんなことに拘るのだったら、アナログ盤も買ってみればと言われそうだけど、数ヶ月前にちょっとだけ探した時には残念ながら見つからなかった。
それはともかく、このアルバムはイイ。(まあどのアルバムも好きなんだけど…)後期の完成されたファンクではないけれど、なんとも言えないぶっ飛んだ魅力を秘めてると思うんだよね。