メイヨ・トンプソン『Corky’s Debt to His Father』(1970)
2009年9月26日 (土曜日)
永遠のボヘミアン、メイヨ・トンプソンの傑作ソロ・アルバム。
メイヨ・トンプソンといっても「誰それ?」と思う人もいるかもしれないので手短に解説すると、サーティンズ・フロア・エレベーターズと並ぶ60年代テキサス・サイケの代表バンド、レッド・クレイオラの中心人物。
70年代末にはイギリスに渡りニュー・ウェーブ/ポスト・パンクシーンに関わり、90年代にはシカゴに移り音響系のアーティスト、デイヴィッド・グラブスやジム・オルーク、トータスのジョン・マッケンタイアなどと組みレッド・クレイオラを復活させた。ちなみにプライマル・スクリームのデビュー作『Sonic Flower Groove』はメイヨのプロデュース。
この人、この経歴の通り時代の火花が散るシーンにいろいろと顔を出す、ホントに芸術を愛するボヘミアン、ジプシーといった感じの人。
本作はそんな自由気ままなテイストが如実に味わえる風変わりなフォーク・ロック。
牧歌的といったらいいのだろうか、なんかヤギや羊や牛が周りをうろついてる中で演奏してるんじゃないだろうかっていうくらいの、のどかな世界を展開してる。曲によってはアシッド・フォークと呼んでも良さそうな浮遊感漂うものもあって面白い。使用楽器はギター、ベース、ドラム以外にも、フィドルやサックス、ボンゴ、ピアノなどが入ってかなり聴き甲斐がある。演奏の雰囲気としては、奏でてるというより鳴らしてるといった感じで、そこにメイヨのちょっと調子外れなヴォーカルが乗っかると、これが唯一無二の世界になっちゃんだよなあ。
とにもかくにも、ホント、ユニーク音楽。満足度でいうと★★★★★ですね。